水の抜けた池で

 7月14日(水)の早朝、偶然訪れた池である光景を目の当たりにした。それは、工事による減水で死滅していた魚達の屍である。

 当時の状況は、朝日が上り切っていて無風状態。池自体は水が淀んでいたせいなのか、魚の死体の腐食臭なのか分からない臭いが立ち込めていた。当然、死体も池のあちこちに散乱していたしかし、水は少し残っているので何かしらの魚が生き残っていると思える気配はあったが、生息しているか?という点ではどう見てもほぼ全滅という判断ができるような状況だった。

 この状況を目の当たりにして、別に魚の死を惜しむ気は無く、工事だから仕方ないよな〜とは割り切っていましたが、この状況で「ある事実」を確認してしまった事が今回の大きな収穫となった。

魚の死んでいる光景:見ての通りブラックバスばかり
中には辛うじて生きている奴も・・・

 それは、「死んでいる魚の大半(9割と言っても良い)以上がブラックバスだった」という事だ。・・・と言っても誰もピンと来ないと来ないし、くどいけどバスが死んで驚いている訳ではなくて、つまり言いたい事は、

 今まで定説だった現代の野池に当てはめられる食物連鎖においてブラックバスは、捕食者であり図式上でも頂点に入る部類の魚という事で定着していたが、その頂点の図式を塗り替えていたという事である。食物連鎖の図式は一般的にピラミッド型で、頂点になる程少なくなる。だが、その頂点に位置する魚ばかりが目の前で大量に死んでいて、フナや鯉をはじめとする在来種の死骸が殆ど見つからないのである。つまり、ブラックバスは完全に食物連鎖の法則を無視して増殖し続けているという事を自身の目で確かめてしまった事になったのである。

 普通ならば、このような場面ではフナや鯉が死んでいる光景が一般的であるし、また食物連鎖の法則が正しければフナに混じってブラックバスの死骸が見つかるのが当然だと思うが、明らかに状況が逆転しているという点で、改めてブラックバスの繁殖力と食性による在来種排除の脅威を思い知らされました。

死んで日数が経っている

 この状況を見てしまえば、わずかな期間で日本中の淡水水域に生息し、圧倒的な在来種を減少・排除して来た経緯を考えれば、ブラックバスは在来種と共存したりできるだろう〜等と言う甘い考えは消えると思います。

 下手をしたら、ブラックバスだけしか生息しない池も出てくるのでは?という危惧もあります。ひょっとしたら、小規模の池ならもう在来種は存在していないかもしれませんね。単に野池でバス釣りをしているだけでは気付かない事も、ひょんな事で気付いた時に驚かされたり考えさせられたりする事があるという事でした。

 僕的な考えでは、率先して毒ガスやサリンを撒く等までの事をしないまでも、野池でバスを釣ったら締めて駆除する程度の事をして増殖を抑えて行かねば・・・と思います。

ひどい奴だと、蛆虫が湧いて悪臭が漂っている

 もし、ブラックバスが今の時代に新しく入って来た魚だったら、もっと慎重な研究や対応策が練られていただろうね・・・。だとしたら、セアカゴケグモが国内で見つかった時位の騒ぎになるだろーな・・・。

サービス・近距離撮影:蛆虫がうじゃうじゃ・・・