ぽつ ぽつ ぽつ、

ぱら ぱら ぱら ぱら・・・

 徐々に白み行く夜明け前の空から雨が降り注ぐ。車の窓ガラスには、音と共に弾けてゆく雨粒を見ながら、

 T2君「あ、雨強くなって来てるっスよ!」

 亀田「うひゃ、すげぇ雨。しかも、ちと寒いな。こう、降られると冷たくてかなわんわい!!」

 T君「こんなんで釣りになるんすか?」

 サターン君「寒いし、むっちゃヤバいんすけど・・・」

etc・・・。

 等々、車内では男4人の口から次々と弱音が飛び交う。前日より、我々は天気予報からある程度の覚悟はして出てきた筈ではあったが、心の奥底に持ち続けていたかすかな希望は、容赦無く降り始めた雨によって打ち砕かれてしまった。時に、2003年5月14日(水)午前4時過ぎの事である。

 我々は、同日の深夜に亀田家を出発し、七川ダムに到着したばかりである。だが、着いて間もなく雨に見舞われてしまい、幸先不安な状態であった。

 亀田「とりあえず、ここまで来たんだから結果はどうであれ、釣りはするよー!!」

 ・・・と言う事で、腹をくくって今回の釣行に挑む。もう、この時点で心も体も冷え切っていた事は確かだったが・・・

ダメダメ風味120%半ドキュメントレポート

 プロジェクトXX

〜無謀な挑戦者たち〜

もとい、

〜七川紀行2003〜

 とりあえず、周りの見通しが聞く頃になって我々は車から降りて道具を降ろし、準備にかかる。その一方で僕は朝食を用意する。といっても、市場(和歌山市中央卸売市場の事)にて入手した食料を積み込んでいただけなので、簡単な調理程度である・・・筈だったが、雨のお陰でバーナーでお湯を沸かす作業すら難航してしまう。恐るべきは大自然の力・・・(大袈裟

 朝食を取りながら時間を気にする。おかしい、ボート屋の兄ちゃんが来ない。まさかっ!!この雨で道路が土砂崩れで通路を寸断されて進むも退くもできぬ状況か!!恐るべし、大自然!!(だから、大袈裟だって

 結局、ボート屋の兄ちゃんはかなり遅れてやって来ました。その理由は、

舟屋の兄ちゃん「悪い、ただ寝坊しただけ。すぐに舟を準備するわ〜★」

 遅れてきた事を素直に認め、舟の準備に取り掛かってくれた。

 とりあえず、降り続く雨の中全員準備を整えて舟を出す。一艘目は僕とT2君、二艘目はT君とサターン君の組み合わせである。向かった先は上流方面―

 開始早々、自分は悩んだ。降りしきる雨で、個人的に好きな表層での釣りがしにくい。おまけに魚も浮いてこないので釣れる訳が無い。時間だけが経過して行く・・・

亀田「まずい、このままでは交通費の無駄どころか、今回の計画その物が無駄に終わってまう! 何とかしないと・・・」

T2君「これなら、大丈夫かも知れませんよ。魚は底の方にいると思います」

 その一方で、T2君が現状況下において最良と思われる方法で魚を釣る。攻めあぐねていた僕には大手柄どころか、希望の光その物であった。その最良の策とは―

魚を逃がす姿 記念撮影の筈

 実は、単なるテキサスリグなのです。着底させてから少し探る行動の繰り返しなのですが、ポイントによってはうまく当たっては面白いように釣れました。その一方で、少し離れた所にいたT君&サターン君コンビは今一つのようで、攻略しきれていない様でした。

亀田「これだ― これが、我々を救う最も最適な方法かも知れないぞ!」

 それを見ていた自分は、方法を変えないと非効率的だなと思って底を狙う作戦に変更。しかし、ハードルアーでは狙うどころか底を取る事すら困難で、ルアーのロストも考えると思い切って狙うことすらできませんでした。そして悩んだ挙句、スライダーワームの投入を決定し、ダウンショット・リグで用いてみました。

その結果、釣れた1匹目

 ワームで底を狙う釣り方は久しぶりだったので、投入直後は着底の感覚が分かりにくかったが、徐々に慣れてきた頃には何とか釣れるようになった。とりあえずは、30センチ弱が釣れた。その一方で、T2君は良いペースで釣上げていった。午前を終えた時点では、僕は1匹でT2君は6匹程だった。

T2君「やはり、状況を早く把握できたお陰で、我々は幸運でしたね。」

 途中で別行動の二人と遭遇したが、話を聞く限りではサターン君が5匹で、今一つだったようである。お互い再び別行動を取った後も少し粘ってみたが、よろしくない。疲れたので陸に戻って早い目の昼食と休憩を取る。しばらくしてから二人も陸に戻ってくる。

調子は抜群の様で・・・

 1時間半程休憩を挟むも、雨は全く上がらない。時折雨は激しく降る。衣服は濡れて体も冷えてはいたが、遥々ここまで来ておきながら、雨に負けてたまるかい!と発奮。陸に戻ってから落ち着いてしまった3人を置いて単独で再び舟を出すも、呼び戻されてしまい、4人揃って再び舟を出す。みんなやっぱり闘志が残っていたんだね・・・。

 そうして、午後から再度同じコースで挑むが、思わしくない。しかも、各々自らを奮い立たせて後半に挑んだものの、強まった雨足の前に無力を曝け出してしまう。

サターン君「疲労の極みです」

 自分としては、この七川ダムにおいて強い雨の中での釣りは過去にも経験があるので、少し位は大丈夫であると過信とはいかないが自信はあった。しかし、今回は昔と違って水位が高く、地形が大幅に変わり果ててしまって、昔のイメージを興して対応してみようとしたけれども、全然アテにならなかった。結局、この日最大の38センチを1匹追加という形で釣っただけである。

亀田「嗚呼、駄目であったか。経験のみに頼ってしまったのが間違いか」

 結局、1時間後には体力と精神力の限界という事でギブ・アップ。弱音吐きな我々としてはよく健闘したものだと思う。終了直前に集まって結果報告をする。結果として38センチを含む3匹を追加したサターン君と、最後まで良いペースで釣れ続けたT2君は数とサイズの大幅な更新に成功みたいではあるが、僕とT君は1日を通して振るわなかったという結果でお開きにする。

本日、最大・最後の38センチ

 陸に戻ってから道具を片付け、積み込みをしてからボート屋の兄ちゃんに別れを告げて下山。我々と道具が濡れていたので、車の窓ガラスがひどく曇ってしまい、運転も一苦労。下山してから古座で民宿兼悪徳中華料理屋を営んでいる友人の元へ身を寄せて、お風呂と夕食にありつく。夕食の席では、僕がチュウハイ二杯でハイテンション!見事な壊れっぷりを披露。

亀田「うぐぅあ!ラーメンの中に何入れやがったぁ!?ゴキブリか、おんどりゃぁ!!」

 夕食後は、お泊り会お決まりの枕投げと民宿破壊・略奪だーっ!!・・・と騒ぎたかったが、T君が先に倒れ、続いてT2君・サターン君もダウン。僕も永遠の眠りに―とばかりに眠りにつく。

T君・T2君・サターン君「ZZZ・・・」

 翌日15日(木):起きた、いやモーニングコールで起こされたのは午前2時前。辺りはまだ暗く、雨は相変わらず強く降り続けている。しかし、交通量が増えてくるまでに岩出に帰らねばならないので、夜逃げ決行!だが、雨足が強くて思うように進まなかったが、午前6時には何とか亀田家まで帰還する。この日は、有給とって休んだ日だったにも関わらず、会社から仕事関係の電話が絶えなかった。

 とりあえず、荷物をまとめてT君とT2君を駅まで送る。昨日の結果を不満として、残ったサターン君と一緒に午前中岩出近辺で釣りをするが、お互い余計に悔いが残ってしまった。

 それからも意地になって釣り回ったが、強い雨が降ってきたので中止・終了する。そうして彼を駅まで送り届けた時点で、今回の釣行活動を終了とした。

出演

T君/T君

サターン君/サターン君

T2君/T2君

亀田/亀田育宏

ボート屋の兄ちゃん/レンタルボートヘミングの兄ちゃん

脚本/効果・演出

亀田

企画

大阪商業大学釣りサークル

賛助

海上保安庁

大阪商業大学釣りサークルのメンバー

製作

やすもの屋

おしまい

おまけ 仔猫